ある展示会に行ってきました。以前からの知り合いの社長が出展するとのことで、誘われたのです。展示会は住宅関連。建材や家具、照明といった、いかにも住宅関連らしい展示が並ぶなか、僕を誘ってくれた出展者のブースは、自然木が並んで立っているという不思議な(異常な?)空間です。ブースを訪れた人たちがみな自然木に手で触れていく様子が印象的でした。
徳田銘木
この会社は、奈良の吉野で銘木を製造・販売している徳田銘木という会社で、自然の風合いを活かした柱などを主な商品としています。
この種の商品は、従来であれば和室の床柱に使われたり、茶室や数寄屋建築の飾り柱として使われたり、といった用途がほとんどだったのですが、最近ではそういった用途は減り、店舗の内装に野趣あふれる店内を演出する、といった用途が多くなってきています。
展示品の木に触れる人々
そんな自然木の柱の展示ブースを見ていると、ほとんどの人がそれらの木を触っていく、ということに気づいたんです。なんだかとっても珍しそうに、または気持ちよさそうに。
展示会を訪れる都会の人たちには、木の触感が珍しいのか、それとも単に触り心地がいいだけなのか、とにかくみんな触っていきます。
ガシッとつかんでみたり。
触る。ちなみにどこにも「触っていい」とか「触ってくれ」とかの表示はありません。みんな勝手に触っていくんです。
また触る。
ながめて、なでまわして。
特に女性に好まれる傾向
しばらく見ていた感じでは、どうも特に女性が多く触れていたように思います。会場内の女性の比率は決して高くなかったのですが、とにかく女性は木の展示に吸い寄せられ、触れたり撫でたりしていきます。何か女性ならではの感性に訴えるものがあるんでしょうか。
上の写真の女性は思わずうっとり。
なでなでしてみたり。
上の写真では画面右から女性の腕がすっと伸びて、通りがかりに木にタッチしています。
建築士、空間デザイナー、店舗デザイナーの方へ
これだけ多くの人を引きつけ、思わず手を触れさせられてしまう魅力を持った自然木の柱ですが、残念ながらそう知られたものではありません。建築士や空間デザイナー、店舗デザイナーなどのプロの方でも、こういうものは見たことはあっても売っている場所までは知らない、というようなところが現状らしいです。
確かに、展示会に来ていたのはみんな住宅・建築関係のプロの方ですが、わりとみんな物珍しそうに見ていました。僕にとっては長い付き合いのある社長のところの商品なので、商品自体の珍さは特に感じませんでしたが、通る人がみんなペタペタスリスリと触っていくことには本当に驚かされました。
みんなよっぽど自然に飢えてるのか、それとも潜在的に木が好きなのか・・・。ともかく、店舗デザイナーや空間デザイナーの方が、こういう素材に注目してくれるのは個人的に嬉しいです。あんまりにも無機質な感じのお店だと息が詰まってくつろげませんけど、こういうのがある空間なら落ち着けそうですから。
店舗デザイナーや空間デザイナーの方にとっては、こういう素材の仕入れ先を一つ知っているだけで、デザインの幅がぐっと広がるんじゃないかと思います。引き出しが増えるというか、いつもは使わなくてもいざという時の切り札になるというか。まあ、もっとも、教えてあげようにも、僕にはそんな知り合いはいなくて、こうしてブログに書いているんですけども。