いくらの胡蝶蘭を贈る?取引先へのお祝い花の相場金額調査

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取引先の慶事のお祝い花としてよく選ばれる胡蝶蘭ですが、いくらくらいの胡蝶蘭を選べばよいか迷う方も多いと思います。この記事では、中小企業が社外に贈る祝品や祝金の相場を調べたデータを元に、適切な金額の目安について考察します。お祝いの種類や取引先との関係にもよりますが、おおよその目安となる金額は3万円で、できればそれを上回ることがおすすめです。

取引先のお祝いに贈る胡蝶蘭の相場金額

周年祝い竣工祝い・落成祝い開設祝い就任祝い叙勲祝いなど、取引先の慶事に際して贈るお祝い花の胡蝶蘭は、いくらくらいの金額のものを贈ればよいのでしょうか? 胡蝶蘭の通販サイトなどを見ると、おおまかな目安となる金額が書かれていることが多いですが、その金額はサイトによってまちまちで、幅も大きく、参考程度にしかなりません。

税法上も、贈答や慶弔で贈る金品の金額に目安はありません。会社として取引先の慶事に胡蝶蘭を贈る場合、その費用は交際費として処理することになります1。しかし税法上は交際費のうち贈答や慶弔には金額の目安が示されておらず、また公的な統計データもないなかで「社会通念上妥当な額」を判断する必要があるのが現状です。

社外慶弔費の規定を持つ会社は少数

日本実業出版社による書籍「役員報酬・賞与・退職金・各種手当 中小企業の支給相場 2023年版2」には、月刊「企業実務」3読者企業等12,000社を対象とした郵送によるアンケート調査(有効回答数221社)で、社外への慶弔費の金額を集計したデータが掲載されています。同書によれば、社外の慶事への対応方法を社内規定で定めている中小企業は3.3%とのことでした。

中小企業の多くは社員などを対象とした社内の慶弔費については規定を持っていても、取引先など社外の慶弔費については規定を持っておらず、慶弔の知らせがある都度、現在の取引額や将来への期待などを加味して祝品や祝金などを柔軟に決めているようです。その額面を決めるにあたっては、ある程度は相場を意識することでしょう。

取引先の慶事に贈った祝品の相場金額

同書に掲載の祝品の金額をまとめたものが以下の表です。「支店・店舗の新設」だけ中央額が低くなっているものの、それ以外はどの項目でも中央額や最多回答額は3万円程度であり、このあたりの金額を一定の相場とみなしてよさそうです。なお、この調査の対象は中小企業であることには注意が必要です。上場企業など大企業の祝品の金額はさらに大きいはずです。

周年記念新社屋・新工場の完成支店・店舗の新設新社長就任叙勲
最高額100,000円40,000円30,000円100,000円100,000円
最低額10,000円10,000円10,000円10,000円10,000円
中央額30,000円30,000円20,000円30,000円30,000円
最多回答額30,000円30,000円30,000円30,000円30,000円
平均額29,09428,575円24,692円28,214円28,478円
日本実業出版社調べ / 回答176社 / 調査期間2022年6月25日から7月20日

なお同書によれば祝品の圧倒的多数は胡蝶蘭とのことなので、祝品の相場金額はそのまま胡蝶蘭の相場金額と解釈できます。上表の中央額や最多回答額、つまり支店・店舗の新設で2万円から3万円、それ以外のお祝いでは3万円が、中小企業が取引先の慶事に贈るお祝いの胡蝶蘭の相場金額であることがわかります。

取引先の慶事に包んだ祝金の相場金額

同書には取引先の慶事に際して祝金を包んだ場合の金額も掲載されており、それが以下の表です。祝品を贈る場合と比較すると、中央額に差はないものの、最多回答額では「新社屋・新工場の完成」と「支店・店舗の新設」で金額が低くなっており、平均額では「叙勲」を除く他の項目すべてで金額が高くなっています。

周年記念新社屋・新工場の完成支店・店舗の開設新社長就任叙勲
最高額100,000円100,000円100,000円100,000円100,000円
最低額5,000円10,000円10,000円10,000円10,000円
中央額30,000円30,000円20,000円30,000円30,000円
最多回答額30,000円10,000円10,000円30,000円10,000円
30,000円
平均額33,537円32,222円27,742円34,512円25,733円
日本実業出版社調べ / 回答176社 / 調査期間2022年6月25日から7月20日

祝品にしても祝金にしても、周年祝いや就任祝いなど取引先の慶事における贈答の相場金額は「およそ3万円」ということで間違いなさそうです。

事業上のメリットで胡蝶蘭の金額を考える

取引先など事業上の関係者の慶事に際して祝金品を贈る目的は、慶事をともに喜ぶ気持ちを形で示すことで関係を円滑にし、事業上のメリットを得ることにあります。祝品や祝金を贈るのであれば、それが事業上のメリットにつながってこそ意味があります。逆にいえば、せっかく贈る祝金品も、事業上のメリットにつながらないなら無意味です。

胡蝶蘭を贈るのは合理的だが…

祝金は手軽ですが、渡した時点で単なる数字になってしまい、インパクトに欠けます。スタンド花は自社名や代表者名が書かれた立札とともに飾ってもらえて関係をアピールできることは胡蝶蘭と同じですが、花が一週間程度しか持ちません。その点、胡蝶蘭は1〜2ヶ月ほども花持ちがするため、長期間にわたって飾ってもらえるので、アピール効果は十分です。

しかし胡蝶蘭は法人贈答で人気が高く事実上のスタンダードとなっているため、区切りの周年祝いや新社長の就任祝いでは贈り先には大量の胡蝶蘭が届きます。それら多くの胡蝶蘭の中で、見劣りしたり埋没したりしてしまうようでは、ビジネス上の目的がうまく果たせません。周囲よりも豪華で見映えのするものを贈る必要があるでしょう。

おすすめは最多回答額や中央額よりも少し高め

相場金額である3万円程度をわずかに上回る値段の胡蝶蘭を贈れば、金額的にも内容的にも、周囲に見劣りしたり埋没したりすることのない胡蝶蘭を選ぶことができます。詳しくは3本立ち胡蝶蘭の値段相場と賢い選び方に書いた通りですが、胡蝶蘭の通販サイト各社が税込33,000円で販売している商品はかなり立派なもので、まず間違いなく、ビジネス上の目的を果たしてくれるでしょう。

胡蝶蘭は花が落ちた後の処分で大量の産業廃棄物を出すため後始末が非常に大変で、それを担当する総務課や秘書課の人々からは「迷惑」「いらない」「嬉しくない」の声も少なくありません。しかし予算を33,000円とすることで、落花後の処分のしやすさにも配慮した商品を選ぶこともできます。詳しくは次の各記事をご覧ください。

まとめ

取引先の慶事で贈る祝品や祝金の金額は、その取引先との現在の取引状況や将来への期待などに応じて都度決める会社が多数を占めますが、一応の相場といえる金額があり、中小企業の場合はおよそ3万円が金額の目安です。お祝い花として胡蝶蘭を贈る場合、3万円を少し超える33,000円で選んでおけば、他の胡蝶蘭に見劣りする心配はなさそうです。

もちろん3万円というのは目安であって、自社の業界内での地位が中堅以上である場合や、贈り先の取引上の重要度が特に高い場合などには、それを上回る値段の豪華な胡蝶蘭を贈ることも十分あり得ることです。そうした場合には、5万円前後の5本立ち胡蝶蘭を贈るのもよい選択です。いずれにしても、事業上のメリットが得られる胡蝶蘭を慎重に選ぶことが重要です。

脚注

  1. 第1款 交際費等の範囲|国税庁 ↩︎
  2. 「役員報酬・賞与・退職金」「各種手当」中小企業の支給相場 【2023年版】 ↩︎
  3. 月刊『企業実務』公式サイト ↩︎